web悠果堂美術館通信(6)
以下の作品をアップしました。
私の作品・・・5個 (7/28) 今後は「社長独白」にアップします。
村田亀水作品・・・9個 (7/29) 主に『月白青瓷』作品です。
亀水先生の『月白青瓷』の持つ「品」が上手く写っていればいいのですが・・・。
10日ほど前に亀水先生と電話で話した際、どうして「月白」の微妙な色合いを出すのか聞いた。
驚いたことに、釉薬を「生掛け」するからだという。
「生掛け」とは素焼きをせず、乾燥した土のままの作品に釉薬をかけること。
当然、生の作品だから扱いに神経を使うし、釉薬も上手くのらない。
素焼きをしないでそのまま焼くと言う方法は、私自身も薪窯の時に微妙な色の変化が出るので何度か経験はあるが、
途中でよく割れたり切れたりしてしまう。
先生の「月白」は窯出しの時よく作品が大きく切れていて、見ていても気の毒な位「歩留り」が悪いものだった。
素焼きをして焼けば10のうち6~7位の「歩留り」、「生掛け」では良くて3、4位ではなかろうか。
ひと窯全滅と言う場面にも立ち会ったことがある。
先生ほどの名人をして失敗の連続だったので、長年原因は釉薬の調合の問題かと考えていたが、
「生掛け」とは本当に驚いた。
青瓷のように失敗の多い微妙なやきもの(昔から「やきもの屋は青瓷をやると身代を潰す」と言われた)を、
素焼きせずに施釉するのは失敗の原因をわざわざ加えるようなもので、
より高みを目指すという強い志がなければ、こんなに危ない橋は渡れるものではない。
「生掛け」の方が生地と釉薬が微妙に混ざり合い、色合いに深みが出ることは知られているが、
作り手にすると、あえて失敗の確率が高まる方法を採るというのは大きな勇気がいる。
何事であれ、失敗を恐れては大きな果実は手に入らないということは分かっているが、
その認識と実行との間には千里の隔たりがある。
私のような甘ちゃんには、判っていても出来そうにない。
「人と同じことをやっていたらいいものは出来ません」
いつもながら、生涯を「一陶工」として精進を重ねた先生の言葉は、さりげない中に重みがある。
私も「粗製濫造」を控えなければと思う。
(徳利型花生)
自分としては結構お気に入りの作品
猫どもに割られないように祈っている