3割の成功
暮れの28日朝7時から始めた薪窯の焼成が、31日の12時頃に終了した。
本焼きは都合77時間だったが、年々体力不足を実感する窯焚きだった。
寒い、眠い、きついの3日間。
作品がよく焼けることだけを願っていると、何とか体力は持つものだが、
これから何回、薪窯を焚けるのだろう。
「自然には勝てない」とは毛沢東の言葉だが、「老い」という「自然」に人はやっぱり勝てないだろう。
終わってみれば、いつものことながら達成感と後悔が入り混じった3日間だった。
年越しの準備もせず、大晦日まで薪を燃やすという行為は、
やきものに興味のない人からは奇異に写るかもしれないが、
まさに「蓼食う虫も好き好き」、人の好みは他所からは推し測れないところがある。
本来は10日頃の窯出しの予定だったが、なかなか休みも取れないので1/3強引に窯出しをした。
今回は大小取り混ぜ50個ほどの作品を入れたが、いつもの通り3割ほどが成功し、
後の3割は失敗、残り4割がどちらとも言えずという結果だった。
この3割という数字を考えると、野球のバッターの打率を連想する。
3割を超える打率を確保すると一流と言われるが、
経験からすると、私の薪窯の成功率(満足率)も3割くらいだ。
野球に限らず真剣勝負の勝率は3割位という認識は、
私の場合、窯焚きの経験から得たものだ。
当然、私の焼成技術の問題もあるだろうが・・。
何事であれ、人が何かに挑戦し満足のいく結果は3割程度かも知れないと思う。
そう考えて物事をやってみると、不本意な7割も「自然」な事として受け入れができる。
不本意な結果を受け入れる大きな度量と、それでもあきらめない持続する志を持ちたいものだ。
3割の積み重ねでも数を重ねると蓄積は大きくなるのだから。
(焼き締め銅鑼鉢)