ツバメ再び
去年巣立ったツバメが産んだヒナが、別のツバメの攻撃を受け5/25に全滅した。
攻撃したツバメは、ヒナ5匹を巣から落し、巣もあらかた破壊しつくしたので今年のツバメ観察は終わったと思っていたら、
侵略したツバメが元の巣をつくろい直し、以前よりも大きな巣にして自分たちの卵を産んだ。
巣から落とされて死んだ5匹のヒナを弔った身からすると、侵略が無ければとっくに巣立ったであろう元のツバメを思い、
新しいツバメに対し寛容になれなかったが、
こうしたことはツバメの世界ではよくあることらしく、自分の子孫を残すための当たり前の戦いらしい。
人間にとって残酷な光景も、動物にとっては当たり前の出来事なのだろう。
侵略したツバメは、巣の修復を結構長い時間をかけて行い、
去年の貧弱な巣に比べると比較にならないほど丈夫な巣をこしらえて産卵し、
1週間ほど前からはヒナの声が聞こえるようになった。
ツバメの産卵期が何時頃から始まり、いつごろ終わるのか知らないが、3か月ほどはあるのだろうか。
5月のツバメが生きていれば、今頃はゆうゆうと空を舞っていたかもしれないが、
こうした想像は「死んだ子の齢を数える」というのだろう。
今度のツバメは以前と比べると親もヒナも紳士的で、あまりフンやごみ(藁くずなど)を工房の床に落とさない。
親鳥は私が部屋の中にいても警戒する風もなく、スピーディーに部屋を出入りし、長居もしない。
ヒナ共もいつも大口は開けているが、あまり大声で騒がない。
まあ、これから成長期になれば、腹をすかして騒ぐのかもしれないが、いまのところは礼儀正しくしている。
くちばしの黄色いヒナが、顔の半分以上の大口を開けている様子は、見慣れていない光景だから滑稽だ。
子供の頃ツバメを観察した記憶があるが、50年ほどの空白を経てまたツバメを観察するというのは名状しがたい思いだ。
侵略者は暴虐の限りを尽くす、というのが歴史の通り相場だが、
このツバメは人間様に気配りして、工房の主である私と共存をしようとしているようだ。
ヒナは5匹で、巣も大きいから落ちることもないかもしれないが、
取りあえず、床はコンクリートだからセフティーネットの支度をしてやった。
この地方が梅雨明けする7月中ごろには巣立つだろうか。
今年は2組のツバメの生存の戦いに付き合うことになったが、全く知らなかったツバメの生態をこの齢で知った。
生きていると何時までも新しい発見がある。
↓温度が少し高かった鉄薬の一輪挿
この薬は酸化の方がきれいになるのだが、
酸化焼成は土の焼き締りがないからなんとなく好まない。