web悠果堂美術館通信(27)
新規の作品をアップしました。
「錦練上げ手」の内田泰秀、林恭助、高垣篤、三浦小平、13代田原陶兵衛等があります。
茶人でありまた自らも茶陶の優品を世に送り出した横井米禽の作品も新しく加わりました。
定番ともいえる村田亀水、中島正雄など私が敬愛する陶工作品もあります。
今回のアップで一番の優品は『倣南宋官窯 青磁管耳花入』になります。
この作品は、中国陶磁史上もっとも優れた作品が生み出された宋時代の、中でも頂点に位置する青磁を清時代に写したものです。
中国のやきものは、技術の習得や向上を過去の優品を写すという方法で行うので、
後世出来の良い写し物が「本歌」として流通するという状況があります。
中国ものに贋作が多いのは、こうした中国独特の事情が絡んでいますが、この作品はそうしたものと異なり、
清時代の陶工が当時の持てる技術を総動員して注文に応じた作品であります。
清の時代には皇帝の命により「汝窯」や「南宋官窯」の写しが作られました。
現在、「大阪市立東洋陶磁美術館」において、青磁作品の頂点に立つ北宋「汝窯」の「水仙盆」が世界で初めて4点揃って公開されていますが、
5点目に清の皇帝がその水仙盆を手本に作らせた「倣・北宋汝窯水仙盆」も公開されています。
この作品、さすが景徳鎮官窯の傑作ですが、「汝窯」に肉薄すれど越えずといういうところでしょうか。
技術の進歩は日進月歩と言われますが、1000年前の作品を後世の進歩した技術をもってしても超えることが出来ないということは、
歴史や技術、また人間の能力の不思議さを示しているかと思います。
↓黒釉壺
最近のプロが作る壺は、高台が小さいものが多い。
私も以前は高台の小さいものを作っていたが、安定感に欠ける気がして
近頃は高台の大きいものも作るようにしている。
高台が大きいと高さが足りない「寸足らず」になりがちで、ろくろの腕が良くないとバランスが取れなくなる。